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ホグワーツ組み分け大解剖(2) 寮同士の対立をみる

勇気のグリフィンドール、狡猾のスリザリン、寛容のハッフルパフ、英知のレイブンクロー。

なぜこの四つの徳目が、ホグワーツの組み分けにおいて重要なのでしょうか。今回は「共同体(ホグワーツ)が生き延びるために何が必要か」という視点で、いつもの話題を読み解いていこうと思います。

Twitterなどに分散して書いていたことなので、おそらく読むのは数度目、という方もいらっしゃるかと思います。ですが便宜上、もう一度こちらにも

HOGLOGY

のできる過程と、寮の特性の把握に用いた事柄を載せておきます。

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ちょうど昨年(2014年)の春頃に、オフ会での会話をもとに作ってみた図です。中世の世界観(大雑把な理解)に基づいて、各寮の属性をまとめたら、こんな感じになるのではないかな、という図です。

この図がすこし新しかったのは、四寮の対立を「俗-聖」と「革新-保守」の、ふたつの二項対立でとらえ直したところにあります。そのうえで、レイブンクロー-ハッフルパフの対立を、グリフィンドール-スリザリンより重要なものとしておきました。なぜなら、この図の「俗-聖」、HOGLOGYにおける「外向的-内向的」という基準は、人間の動かしがたい気質であって、能動的な思想や意思のもちかたではないからです。
 

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「革新(獅子)-保守(蛇)」の区分けは、あくまでも思想の問題です。必要とされる資質は時に重なりますし、流動的です。方向性はちがえど、ひとつの意思のもとに結集して人を導く、という点は同じで、ある意味似た者同士でもあります。
 
ですから、あるキャラが「グリフィンドール的か/スリザリン的か」という問題は、しばしば議論を呼びます。スリザリン寮のある人物がダンブルドアに言われた「時々組み分けが性急すぎるのではないかと思う」という言葉や、ハリー自身の組分けの様子などがそれにあたるでしょう。
魔法界の「保守」と「革新」とはいったいなんなのか。さまざまな視点がありますが、ひとまずきわめて漠然と、自ら(魔法界)の伝統を守るために変化をこばむ態度を保守とおき、積極的に魔法法の制度改革をはかり、マグルとの融和をめざす態度を革新とおいています。
 
そして、グリフィンドール-スリザリンの対立が「どうアイデンティティを獲得するか」なのに対し、ハッフルパフとレイブンクローの存在は、「どう生きるか」に直結しています。
ホグワーツ創設当初のスコットランドは、ローマを中心とする中世ヨーロッパ世界の最果てでした。岩山と森、そしてヒースだけがどこまでも続いている、きわめて厳しい辺境の土地です。そんな場所に根差して生き抜くことは、非-魔法族はもちろん、魔法使いにとってもやさしい問題ではないはずです。
彼らにとっての敵はまず、あまりにも貧しい自然でした。自然を征服して飼いならさないことには、ほかの人間に勝利などできるはずもありません。
 
中世ヨーロッパで生き抜くすべはたった一つ、「共同体内の団結」です。
そのために欠かせない要素が、ハッフルパフの徳目である「忍耐と寛容」と、レイブンクローの徳目である「知識」なのです。
すべての人間をホグワーツという共同体へ受け入れる博愛の精神は、生き延びる人間がひとりでも多くなることにつながります。そして「学問」としての知識は、共同体をさらに繁栄させる力を生み出します。
ホグワーツが創設された当初、「学問」として体系だった知識を得られる場所は修道院しかありませんでした。農学、経済学、歴史学、兵学まで……すべての学問はいわゆる「神学の侍女」として位置づけられ、宗教研究とともに行われる必要がありました。そんなわけで、当時ホグワーツにどんな宗教が根付いていたのか(あるいは神を持たなかったのか)はともかく、上の図では学問を「聖なるもの」として宗教にひもづいています。
 
こうして見ると、ホグワーツの四寮の「勇気・狡猾・寛容・英知」という徳目はすべて「共同体を生き延びさせるために、自分がどんな役割を果たすか」という視点に基づいていることがわかりますね。
ホグワーツ創設当初、戦いにつづく戦いのすえに、サラザール・スリザリンは学校を去ることになります。ですが、それでもスリザリン寮は廃止されることなく、ハリーの子供の世代になってもしっかり存続しています。その意味を改めて考えてみるのも面白いですね。
 
そして、これをベースに保守-外向的/革新-内向的など「それっぽい」性格をあてはめて出来上がった図がこちら。

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私はINTP、レイブンクロー寄りのグリフィンドールです。ですがこの表、どちらかというと本当にみるべきなのは自分の立ち位置より「対極に何があるか」なのかもしれないなと思います。自分を補ってくれるものを、漠然とした形であれ把握できるようになることで、生きやすくなるヒントが得られるのではないでしょうか。そんな実感を、作ってみて一年ほど経て思うのでした。
忘れられた巨人

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