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Majolog

魔女のブログ Twitter::Sayonaky

「炎のゴブレット」を久々に観て――箱庭の終わり

日本テレビでの『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』の放送が終わってしまい、一週間が経とうとしています。2015年の「ハリポタ祭り」はこれで一区切りを迎えたことになりますね、ちょっと寂しい。

とはいえ、2016年には『不死鳥』『謎プリ』『死の秘宝1・2』の四作品が地上波放送されることが決まりました。おそらく『幻の動物とその生息地』の公開に合わせてくるのでしょう。楽しみはまだまだこれからです。

それにしても『炎ゴブ』の映画、久々に観たのですがとても面白かったです。最近はなかなか原作に触れる機会がなかっただけに、頭をからっぽにして没入できました。

広がる世界――『炎のゴブレット』の魅力

私が『賢者の石』の映画版のおかげでハリポタに夢中になったころ、ちょうど発売されたのが『炎のゴブレット』の日本語訳でした。たまたまクリスマスプレゼントで『炎ゴブ』をもらってしまった私は、なんと2,3を飛ばして4巻を読んでしまったのです。「シリウスおじさんって誰!?」というところで躓きながらもストーリーは楽しんでいたのですから、今からしてみると考えられないような話です。

 

『炎のゴブレット』を他の六作品と区別する要素は「広さ」だといえるでしょう。「クィディッチ・ワールドカップ」の観戦から「トライウィザード・トーナメント」へなだれ込む物語の中で、ハリーはクラムやフラーといった海外生まれのキャラクターと交流することになります。そして、この二つの大事業を統括するのは、5~7巻で良くも悪くも重要な役割を担う、「大人の世界」の象徴である魔法省です。四年生になったハリーは、「マグルの世界」とも「ホグワーツ」とも違う、魔法界のあらたな側面を次々に知ってゆくのです。

 5~7巻の中で「海外の魔法界(魔法学校)」が持つ役割は、正直大きいとはいえません。しかし映画「幻の生物~」でアメリカの魔法学校が登場することが確定したとなると、『炎のゴブレット』の持つ国際性は、俄然大きな伏線として機能し始めます。

ついでに言うと次回作の主人公のニュート・スキャマンダーは魔法省の役人ですから、そういう意味でも『炎のゴブレット』は重要です。「ハリーの物語」から離れた「魔法界」を描くための設定が、この巻には詰まっているのですね。

 

と同時に、『炎のゴブレット』はハリーの成長の中でも独特な立ち位置を占めています。

1巻から3巻までの物語は、いわばホグワーツの中で完結する「箱庭の物語」だといえますが、5巻から7巻は「ヴォルデモートとの対峙」が主軸になっていきます。そのはざまに位置する4巻で、ハリーは「選ばれし者」としての洗礼を受けます。

 その象徴といえるのが、ヴォルデモートの復活による「血の護り」の無効化です。

4巻までのハリーは、ダーズリー家という「成人するまでの隠れ家」、ホグワーツという古来からの呪文に守られた城、そしてリリー・ポッターの「血の護り」によって、三重に護られていました。しかしその一つが、ついに破られてしまうのです。

そしてホグワーツは、物理攻撃にはめっぽう強いですが、スパイの侵入や法による圧力を防げはしないことを、ハリーはよく知っています。そのため5巻以降ホグワーツはもはや「安全な箱庭」ではなく、紛うことなき「戦場」になってしまいます。

 

その後の展開を知っている身からすると、『炎のゴブレット』はまだ箱庭だった頃のホグワーツへの郷愁を、ひときわ感じられる作品に仕上がっています。ここも大きな魅力だといえますね。ああ、本を読み返したい。